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【ウメハラ伝説】背水の逆転劇 解説【ギネス記録】

投稿日:2018年5月24日 更新日:

背水の逆転劇解説

ウメハラの起こした伝説「背水の逆転劇」について説明します。

 

「趣味で格ゲーやってるよ!」と言うと「あれは知ってる!ウメハラがすごい逆転するやつ!」とよく言われます。

あの駆け引きの間には一体どうゆう読み合いがあったのか?実はテクニック的にはそこまですごいことではないのを細かく伝えたいので、この記事で詳しく説明しようと思います。

ウメハラについてはこちらの記事で詳しく紹介しています。

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背水の逆転劇とは

2004年にアメリカで行われた格闘ゲーム大会「Evolution」(通称EVO)の「ストリートファイターⅢ 3rd STRIKE」部門にて、現在では日本初のプロゲーマーである、梅原 大吾(当時23歳)と、現在でもアメリカを代表するプレイヤー、ジャスティン・ウォン(Justin Wong)との試合で起きた、見事な逆転劇です。

テレビだとマツコ&有吉の怒り新党でも紹介されていましたね。

状況

ウメハラ選手操るケンは白い道着に金髪のキャラクター、体力が残り1ドットという状況に陥る。

弱攻撃1発、または必殺技をガードしただけで削りダメージで死んでしまう、という状況。(ストリートファイターでは必殺技をガードするだけで僅かながら体力が減ります)

「レーツゴージャスティーン!」という観客の声のもと、ジャスティン操る女性キャラ春麗がスーパーアーツ(超必殺技)鳳翼扇を放ち、削りダメージで倒しに行きます。

しかし、これを読んでいたウメハラ選手は鳳翼扇を全てブロッキングし、最後は空中ブロッキングからの、ジャンプ大K>しゃがみ中K>中昇竜拳>スーパーアーツ疾風迅雷脚という最大反撃コンボを決め、見事に逆転勝利を収めました。

ブロッキングとは

ストリートファイターシリーズでは通常、後ろ方向にレバーを入れることで攻撃をガードすることができます。

この「ストリートファイターⅢ 3rd STRIKE」には相手の攻撃が当たる直前にレバーを前方、または真下にいれることでノーダメージでガードできるブロッキングというシステムがあります。

レバーを倒してから6~10フレーム(0.1~0.17秒)以内に相手の攻撃が当たっていなければ成立せず、タイミングが少しでもズレればもろに攻撃を喰らうことになります。

波動拳をブロッキング
画質が非常に悪くて見にくいですが、事が起こる前にジャスティン選手もケンの波動拳をブロッキングしている。

 

そんな難しいことを連続でやってのけたのか!ウメハラすごい!と思うかもしれません。

しかし実は、1発目のブロッキングに成功すると、それ以降のブロッキングはそれほど難易度が高いわけではありません。

こちらでその事について語られています
電撃オンライン “背水の逆転劇”を本音で語るヌキ、ふ~ど、キャベツの後日談。ウメヌキ結成秘話も

2011年に発売された「3rd STRIKE Online Edition」では、「あの瞬間をもう一度」というタイトルで、この場面の再現がトライアルモードの最終課題としてプレイすることができます。

3rdトッププレイヤーのヌキはなんと目隠しでこれを成功させています。

 

鳳翼扇の初段をブロッキングするためには、相手が技を出す前にレバーを入力するか、技の演出直後の1~2フレームに入力しなければなりません。

技の前にピカッっと光る演出が入るんだから簡単そうじゃん!と思うかもしれませんが、これは攻撃発生まで3フレームの猶予(0.05秒)で入力しなければならず、発動後にレバーを前に倒すのは非常に難しいです。

これらを踏まえると、鳳翼扇の初段をブロッキングしたことが、この背水の逆転劇においてプレイに関しては一番すごいと言えるでしょう。

起きている読み合い

鳳翼扇を出すにはレバーを「↓↘→↓↘→+Kボタン」という入力が必要で、このコマンド上、春麗が途中でしゃがんでいるのが見えるため、鳳翼扇のタイミングがわかってしまいます。

ジャスティンもそれをわかっており、鳳翼扇を出すまでに一瞬しゃがんだり色々な技を空振ったりなどのフェイントを混ぜてから鳳翼扇を放っています。

ウメハラ選手操るケンも、体力が数ドットになってからはピクッピクッと前に動いているのがわかります。

このときすでに初段ブロッキングの入力をしている訳です。

鳳翼扇直前
鳳翼扇の初段発生直前、ケンは前に動いているのがわかる。

何がすごいのか

EVOはアメリカで開催されている大会なので、ウメハラ選手にとってはアウェイ、さらに対戦相手はアメリカの超有名プレイヤーのジャスティン・ウォン。

ウメハラ選手も当時から既に注目されていた選手であり、1年前の大会でハイレベルな試合を見せていたこともあり、注目度は非常に高かったと思います

音が重要と言われるこのテクニックを、ものすごい大歓声の中、的確にブロッキングを決め、冷静に最大反撃できっちり倒しきった。その精神力が一番すごいと思います。

 

あのプレイの後、キャラクターとスーパーアーツを選び、淡々と次の試合を始めようとしているところも面白いですね。

よく勘違いされていること

この試合は決勝戦ではなく準決勝(ルーザーズファイナル)です。

さらに、ウメハラ選手はこの後決勝でKO選手に敗れ、この大会では準優勝となっています。

 Evo 2004: KO (Yun) vs. Daigo Umehara (Ken) – SFIII Grand Final

 

また、フルバージョンの動画(Street Fighter – Justin vs Daigo)でウメハラ選手操るケンが手をクイクイッとやる挑発アクションをしていることが確認できますが、次の初段の攻撃力が上がる効果があるので、いわゆる舐めプレイではなく立派な戦略です。

ギネス記録

2016年に「最も視聴されたビデオゲームの試合」としてギネス・ワールド・レコーズに登録されました。

2018年5月現在では600万回以上再生されています。

「ウルトラストリートファイターⅣでの最高ランキング」と共に2つのギネス称号を手に入れました。

2010年には「世界でもっとも長く賞金を稼いでいるプロゲーマー」としてギネス世界記録に認定されており、ウメハラ選手は3つのギネス称号を持っていることになります。

“背水の逆転劇”の再現

 “背水の逆転劇”から10週年を記念したイベントが2014年にアメリカで開催されました。 ウメハラ vs. ジャスティン・ウォンのエキシビジョンマッチが、10年前と同じキャラクター同じステージで行われました。

このエキシビジョンマッチの様子がとても面白いです。

お互いわざとその状況に持っていき、1回目は失敗してしまいますが、2回目はしっかり成功。

お互い笑っていて、とても微笑ましい光景です。

10年経っても互いに未だ現役でトッププレイヤーなのは本当にすごいですね。

まとめ

格ゲーを知っていなくても体力少ないのになんかスゴイことして逆転した!

会場の盛り上がりもすごい!と視覚的にわかりやすいのも重なってのギネス記録だと思います。

 

ウメハラ選手はまだまだ現役のプロゲーマーとして活躍されています。

また新たな伝説を作っていくと思います。

 

ウメハラさんの著書「勝ち続ける意志力」の冒頭で、この時の心境を詳しく語っています。

なぜ勝ち続ける必要があるのか?そのためにはどう考え、どう行動するかについて、自身の人生をなぞりながら語られていて、何度も読み返した大好きな一冊です。

格闘ゲームに関する本、ウメハラについてはこちら

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